1: 萌える名無しさん
http://moero.gger.jp/archives/3453815.htmlの続き
557 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:22:16 ID:tFriO352O
部屋に戻ると急に不安になった。
何だか後戻り出来ないような気がした。
—僕はミサネェもエリカも傷つけてしまった—
寒気がした。
558 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:24:10 ID:tFriO352O
次の日
目は覚めたが、完全に風邪を引いている事がわかった。階下に降り、体温計を出してもらう。
38.5℃
母に熱い風呂に入り身体を暖めなさいと言われる。
風呂にお湯が入るまで、食欲はないので熱冷ましと熱いお茶を飲む。
風呂に入り、湯冷めするのが嫌なので部屋に戻り布団に入った。
布団に入ったら寒気に襲われたけど、そのまま眠った。
目が覚めたら横にエリカがいた。エリカは炬燵に入りながら本を読んでいた。
エリカの横顔を見ていたら涙が出てきた。エリカが気配に気付いて僕の方に振り向いたが…
559 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:25:19 ID:tFriO352O
僕は寝返りをうち顔を背けた。そうするしかなかった。
エリカがそっと近付き…毛布をかけ直してくれる。そして僕の額に手をあて、体温を比べている。
エリカはシーツの裾を直し、また本を読みだした。
暫くエリカの横顔を見ていた僕は…また眠りに落ちた。
僕がもう一度目を覚ました時、エリカは同じように本を読んでいた。
「おはよう」僕が声をかけたら、心配そうにエリカが振り向いた。
僕が起きようとするとエリカは僕を制止して、こっちにきた。
「大丈夫?お母さんも心配してたよ」
560 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:27:12 ID:tFriO352O
「ゆっくり寝たから大丈夫。もう熱も冷めたし…」
エリカは自分の額と僕の額を合わせて熱が下がっているかを確かめた。
「熱…ないね」
本当に下がっていたみたいだった。
「お母さんが、シンジ君が起きたら教えてって」そういうとエリカは下に降りて言った。
暫くしてエリカは上がってきた。
「今、お母さんがおじやを作ってくれるって」
「食べたくないなぁ」
「じゃぁ、私が食べさせてあげるから食べよ」
インターホンが鳴るまでエリカは僕の手を握っていた。僕はエリカの手を強く握り返した。
561 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:29:37 ID:tFriO352O
エリカが土鍋を運んできてくれた。作ってもいないのにエプロンまでしている。
「まずはお茶を飲んで。」
エリカが僕にお茶を飲ませようとする。あまりにも急角度で飲ませるから…溢れてしまい、パジャマがビショビショになってしまった。
「ご!ごめんなさい。むせる僕にエリカは慌てた」
「大丈夫。鼻に入っただけ。それに汗かいたからパジャマもシャツも着替えるよ」
エリカはとりあえず僕の身体を拭いてくれ、それから土鍋の蓋を取った。湯気が上がってた…。
…僕は悪い予感がした。昔見たドリフとかのコントと同じ展開だった。
562 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:32:44 ID:tFriO352O
もうもうと湯気が立つ土鍋からおじやを小皿に移す。
「大丈夫。自分で食べるから」
「ううん。食べさせてあげたいの、シンジ君は寝てて」
エリカはアメリカでドリフのコントを見ていたのだろうか?完全にお約束のペースだった。
エリカはフーフーっておじやを冷ましスプーンで一口すくうと僕の口元に運んだ。
フーフーしてくれたのも、少量をそっと運んでくれたのもよかった。
ただ…小皿をフーフーしても意味がなかったし、熱伝導のいいスプーンを選択したのは間違いだった。それに気付くまで一秒もかからなかった。
エリカはそっと唇の上にスプーンをおいた。瞬間…僕は悲鳴を上げ、エリカはスプーンを僕の胸の上に落とした。
かろうじて皿のおじやをかけられなかったのは不幸中の幸いだった。
565 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:47:43 ID:tFriO352O
エリカは慌てて皿をおき、タオルで僕の顔と胸を拭いてくれた。
「ごめんね。シンジ君ごめんね」
「いや、大丈夫。もう大丈夫だよ」エリカはエプロン姿でオロオロしている。
それから僕はスプーンに取ったおじやをフーフーして欲しいとリクエストした。
集中しているのか、眉間に皺を寄せて…小刻みに震える手でおじやを運んでくれるエリカ。
僕も怖かったが、さっきから時間が経っていたので熱くはなかった。
僕は唇がヒリヒリしてたが、エリカには言わなかった。
途中から一緒に食べようと提案し、僕は身体をおこした。
食べおわり、お風呂に入るからと着替えを持ちエリカと下に降りた。
僕が風呂から上がると母が寄ってきて
「エリカちゃんを責めたらアカンよ。健気にアンタみたいなんに尽くしてくれてるんやから」と言った。
僕が風呂に入ってる間にエリカは母に謝ってたらしい…そんな必要ないのに。
「鮎川は?」
「お洗濯中…アンタのパジャマを持って上に上がったよ、青春だね」
566 :えっちな21禁さん :2006/01/19(木) 14:48:40 ID:mz/HM5rN0
そして金盥が落ちてきますた。
567 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 14:58:57 ID:tFriO352O
母も…少し行き過ぎかな?って思ったみたいだったが、僕の腫れた唇を見て納得したらしい。
「一途なんやなぁ」
「そうそう、病院に行きなさいよ。後で熱がぶり返しても病院がお休みになったら大変なんだから」
僕は家でエリカとゴロゴロしたかったが、明日からバイトもあるしエリカと病院に行く事にした。
僕が髪を乾かしているとエリカが降りてきた。母が労うと
「シンジ君の看病するつもりが返って迷惑かけちゃって。ごめんなさい」
「コレはもう大丈夫。殺しても死なないわよ。それよりエリカちゃんにお願いがあるんだけど。病院に一緒に行ってあげてくれる?」
568 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 15:13:44 ID:tFriO352O
僕の中でわだかまりは消えていた。ミサネェとの事は…卑怯かも知れなかったが、考えない事にした。
着替えてから下に降りるとエリカもコートを羽織っていた。
「エリカちゃん。今夜はウチで食べて帰りなさい。私が送っていくから」
エリカは素直に喜んでいた。
病院までの間、エリカは僕の腕に手を回していた。…僕がふらついても大丈夫なようにだそうだ。
病院について診察券を出し、コートを脱ぐ。エリカもコートを脱いだ。
「………。」エリカはエプロンを着けたままだった。
回りの人の視線がエリカに注がれるが、本人は気付いてないようだった。
名前を呼ばれ診察室に入ろうとするとエリカも一緒にくる。恥ずかしいからいいと言うと
「診察を受ける時は一人で病院に行ったら治療は受けられないのよ」
インフォームドコンセントと言いアメリカでは一般的らしい。
ここは日本だから…そう説明するのも面倒だったので、一緒に診察室に入った。
569 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 15:28:23 ID:tFriO352O
先生も看護婦さんも怪訝な顔をしていた。
同じ年のエプロン姿の保護者が来てるんだから違和感があるのも当然だった。
エリカは手帳を取りだしメモを始めた。
ただの風邪なのに…とりあえず上半身裸で診察台に乗せられて血圧や脈を測られる。
エリカは先生に質問をしている。先生も笑いをこらえながらエリカの質問に答えていた。
最後に先生が法律が違うし国民性も違うけど、医療ミスをなくすにはその方がいいかも知れないね、そうエリカに答えていた。
診察室を出てから薬が出来るまでアメリカの病院の話を聞いた。結構違うって事に僕は驚いた。
寒いからココアを飲んで帰ろうって提案をし喫茶店へ。エリカは当然のようにエプロン姿になる。
僕は我慢出来なくなり
「エプロン着けたまま喫茶店に入るのは…平気?」
「アッ!」
顔を真っ赤にして慌てて脱ごうとしてる所にココアが運ばれてきた。
エリカはそっとエプロンを脱ぐとたたんで鞄にしまった。
「恥ずかしいよぉ」
571 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 15:41:31 ID:tFriO352O
ココアを飲みながら、僕はエリカが看病してくれてうれしいってお礼を言った。
「本当はシンジ君の寝顔を見てたんだよ。何度もチュッてしちゃったもん」
今度は僕の顔が赤くなった。
家に帰ると車がなかった。たぶん母が買い物に行ったんだろう。
僕たちは上に上がった。
一応僕はパジャマに着替えて布団に入る。エリカは炬燵に入っていた。
「こっちおいでよ」
エリカはコクンと頷くとベッドに腰かけた。
「シンジ君」
エリカはちょっとだけって…毛布の中に入ってきた。
エリカが僕の少し腫れた唇に指をあてる。
そしてキスをした。
—ココア味のキス—
甘いキスだった。
573 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 15:46:02 ID:tFriO352O
ガレージの開く音がする。
「お母さんが帰ってきたよ。お手伝いしてくるね。」「用意が出来たら呼びにくるね」
エリカはそういうともう一度僕にキスをして、エプロンと薬を持って降りていった。
僕は疲れたのか…そのまま眠ってしまった。
590 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 21:33:17 ID:tFriO352O
エリカのキスで目覚めた。もう一度キスをするエリカ。
「ごはんよ。お父さんも帰ってこられてるよ」
伸びをして…身体を起こした。
「シンジ君がまた夢を叶えてくれた…ね」好きな人をキスで起こすのが夢だったらしい。
さっきはミスったと後悔していたそう。
「先に降りるね。お手伝いが残ってるし」エリカは先に降りて行った。僕はパジャマの上からパーカーを羽織って下に降りた。
夕飯はうどんすきだった。薬味をとりわける。ぶっとい葱がエリカの仕事だとわかる。父は何も言わなかったし、僕も言わなかった。
593 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 21:38:24 ID:tFriO352O
エリカはうどんや具をとりわけてくれる。
僕は別の意味で緊張した。これから先、エリカとは熱々のおでんは食べないと固く心に誓った。
エリカのアメリカでの生活を聞く。炬燵は日本から送ったとか、意外に日本の食材は手に入り易かったとか面白い話だった。
「エリカちゃんのお父さんはもう向こうに転勤はしないの?」
僕の不安要素だった。
「卒業までは大丈夫だと思います。もしも転勤になったら父の単身赴任か私だけ残るつもりです」
「もしもエリカちゃんのお父さんが転勤になったらウチに下宿なさい」
エリカは嬉しそうに返事していた。
595 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/19(木) 21:55:45 ID:tFriO352O
食事を終えてエリカが片付けを手伝っている時、
父が話かけてきた。
「いい娘さんじゃないか。礼儀ただしいし…」
「…うん」
「まだまだ先は長いが、とりあえず頑張ってみろ。それはそれで幸せなはずだ」
なんとなくわかったような気がした。
片付けが終わったあと、みんなでお茶を飲んだ。母が20分くらいしたら送って行くから上にいなさい。と、アシストしてくれた。
エリカと上にあがる。
「今日はごめんね。シンジ君の看病をするつもりが…火傷させちゃったり、晩ご飯までご馳走になったり…」
「明日…心配だからお迎えに行くね」
「無理はしなくてもいいからね」僕はエリカをギュッと抱きしめた。
インターホンが鳴るまで…僕はエリカを抱きしめた。
636 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 14:19:37 ID:PfOrZY1FO
次の日
朝早く目覚める。熱も下がりバイトの準備を始めた。8時に家を出て、店の開店準備を始める。
10時の開店に合わせて出前の注文が次々に入る。
慌ただしく一日が過ぎた。夕方にエリカが迎えにきてくれた。
「お疲れ様!まだ風邪が治ってないから心配だったよ」
「大丈夫!出前先で菌を撒き散らしてきたし」
そんな話をしながら坂を下って行った。
「今日ね、シュビドゥビで雑貨を見てたらミサさんに偶然あったよ」
僕はドキッとしたけど、表情には出さないようにした。
「ミサさんにシンジ君が風邪引いたって言ったら、スゴク心配してたよ」
別の意味で…僕も緊張した。
ミサネェが遊びにおいでって誘ってくれたらしいが、先に何か食べようって事になった。南京街の【ぎょうざ苑】へ。
エリカはジャンジャン菜、僕はジャンジャン麺。それに餃子を2人前頼んだ。
「美味しい!こんなの初めて!シンジ君の麺もちょっとちょうだい」
食事が終わった後…少しだけ高架下を物色してからミサネェのバイト先へ。
637 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 14:22:53 ID:PfOrZY1FO
ミサネェは退屈そうに店番をしていた。
店に入るとエリカは楽しそうにミサネェと話している。
「シンちゃん!シンちゃん風邪大丈夫?」
「アッ…はい。大丈夫です」
ミサネェは心配そうに僕を見つめた、その瞳は…悲しそうでもあった。
「本当は遊びたいけど明日もバイトなんで、今日は早めに帰ります」
ミサネェの為にもエリカの為にも、もちろん僕の為にも…帰った方が良かった。
帰り道…エリカは僕の家に寄った。昨日の礼を母に言い、明日の買い出しに付き合う約束をしていた。
その後…エリカは僕の部屋に寄った。
エアコンのスイッチをつける。部屋が暖まるまでと…エリカは僕に甘えてくる。
「初詣はどうする?一緒に行ける?」僕はエリカに聞いた。
エリカは小さい時に初詣には行った事あるけど、あまり記憶がないから楽しみだと言ってた。
「シンジ君とならどこでもいいよ」
僕達は大晦日はデートする約束をした。
648 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 17:27:10 ID:PfOrZY1FO
次の日
バイトを終え、僕はミサネェが店番している店に寄った。寄る必要はなかったが、昨日のミサネェの心配そうな表情が気になった。
差入れに【エストロイヤル】のシュークリームを買う。
「シンちゃん、サンキューね。お姉さん達は甘い物が欲しかったのよ。ついでにコーヒーもお願い。」
ミサネェの友達も来ていたので、その分も買いに行く。今日も話をする機会はなさそうで、残念だけど少しホッとした。
ミサネェは明るかった。僕はカウンターの端で会話に紛れていた。
「そろそろ帰ります。明日もバイトあるし…」
そう言って僕は店を出た。
高架下の外をプラプラ歩きながら駅に向かっていると僕の名前を呼びながらミサネェが追いかけて来た。
「シンちゃん、オミヤありがとう。全然話が出来なくてごめんね。あの子達…変に私達の事を誤解してるから…」
「シンちゃんに迷惑かけたくなかったの」
「そんなんじゃないです。昨日…少し気になったから…」
「トイレって言って出て来たから、もう戻らなきゃ。明日もバイト?」
明日もバイトだと答えるとミサネェは覗きに行くから…そう言って戻って行った。
651 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 17:45:42 ID:PfOrZY1FO
僕は家に電話をし、—エリカがまだ家にいる事を確認してから—帰宅を急いだ。
家に着くとエリカは違う柄のエプロンを着ていた。
「シンジ君のお母さんに買って貰ったの!」
僕はエプロン一つで喜んでいるエリカを見て
「シュークリーム買ってきたからみんなで食べよう」と言い、母に渡した。
お茶を飲みながら話を聞くと母がアクタスやアチコチの店にエリカを連れ回したらしかった。
明日は午前中にエリカの家の買い物に親同士で行くらしい。エリカも同行するらしかった。
お茶が済んでエリカは僕の部屋の大掃除をしようと提案してきた。母もそうしてもらえと言うが、男には男の秘密があった。
僕は明日にでもお願い!って頼み今夜中にエロ本やビデオを処分する事にした。
母がエリカを送るのに少しだけ時間があったので、二人で上に上がった。
「シンジ君ごめんね。シンジ君のお母さん…迷惑じゃないかな?」
「かなり機嫌がいいやん。この前もエリカの事をウチの娘にして、俺をエリカんちの養子にするとか言ってたし」
「それより…そうそう、なんで大掃除したらダメなの?」
「……。」
652 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 17:58:42 ID:PfOrZY1FO
「シンジ君…何か隠してない?」
「な…ないよ」
エリカは勝ち誇った顔をした…。
「本当は…エッチな本とか隠してるんでしょ?」
「チアキが男の子は絶対に持ってるって言ってたもん」
僕はエリカに友達は選ぶようにと言いたかった。
「ホレ、ホレ出してごらん」エリカはイヤラシイ表情で言う。
「持ってないし、見たいなら…エリカのオッパイを見るから」逆襲した。
エリカは顔を真っ赤にして俯いた。
僕はエリカを苛めたかったが、エプロン姿のエリカは可愛らしくて…抱きしめた。
「…本当は持ってるでしょ?」エリカはニヤリと笑った。
678 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/20(金) 20:25:05 ID:PfOrZY1FO
「持ってないよ、マジで」
……。
「ごめん…持ってる」
エリカは執拗に見せろと言うが、それだけは許してくれと言った。
「男の子だもんね。エッチな本くらい持ってても…仕方ないよね」
「今夜中に処分するよ…ホントにごめんね」
「…一緒に見たいな。見た事ないもん」
「いや…軽蔑されそうだし、そういうのは一人で見るもんだし…」
僕が困った顔をしているとエリカは
「シンジ君の困った顔…好き。ううん…全部好き」
そう言って捜索は中止になった。僕はホッとした。
エリカが帰った後、僕はエロ本をゴミ袋に詰め…公園のゴミ箱に捨てに行った。
745 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 06:38:41 ID:WhdeRQ8ZO
バイト最終日。いつもより早くでる。今日は近くの会社も事務所も休みだから出前はほとんどなかった。
夕方前になりミサネェが店にやってきた。
コーヒーを飲みながら僕の上がりを待っていた。給料を貰いミサネェの代金をチェックしようとしたら、オーナーがご馳走してくれた。
「シンちゃんお疲れ様」
「お疲れ様です。」
「今日は下はお互いの友達で一杯だから上でゆっくりしよう」
ミサネェの提案に賛成だった。高架下や元町で知合いに合わないで歩く事など無理な話だった。
中山手のカトリック教会の辺り、ベルゲンの前を通りハンター坂を上り、ビルの3階にあるカフェに入った。
「でも暗くなって坂を下ったら、ホテル帰りと間違えられますよ」
「シンちゃんとなら誤解されてもいいよ。誤解かどうかは微妙だし…」
僕は恥ずかしくて下を向いてしまった。
—ダンスホールやダブが抑えた音量で流れている—
「シンちゃんて意外に純情だね、ベッドじゃ激しいのに…」
「あ…あの時は…どうかしてました」
言い訳するのはミサネェに失礼な気がした。
746 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 06:42:57 ID:WhdeRQ8ZO
「あの時…したかった?」
「いえ…しなくて良かった…と思います」
こんな話をしにきたんじゃなかった…普通に世間話とかがしたかった。
「私も…。多分してたら…私、本気になってたと思う。」
ミサネェはミサネェで悩んでたんだ。ミサネェの表情がそう感じさせた。
「いっぱいいっぱい。シンちゃんでいっぱいだったよ…」
「僕なんて…まだ子供だし、釣り合いがとれませんよ」
「あら…アソコは立派な大人だったし、私にイヤラシイこといっぱいシタでしょ?」
「ご、ごめんなさい!」
ミサネェはイヤラシイ事をサラッと言う名人だった。しかし僕はパニック寸前だった。
「心配ないよ。私が本気になってもエリカちゃんには敵わないもん。だから私は恋愛戦線から撤退するけど」
「エリカちゃんと別れたら…私を候補に入れてよ!」
ミサネェは僕が言いたい事をわかっていた。わかっていたから…フザケながらも僕をカバーしてくれている。
「ミサネェの事を嫌いになれる筈ないし、誰かと比べる事もしません」
それが僕の精一杯のエクスキューズだった。
749 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 06:48:41 ID:WhdeRQ8ZO
「シンちゃんは優しいなぁ…ありがとうね」
ミサネェの目に涙が溜まっていた。ミサネェを見ていたら僕まで…。
「シンちゃんの優しさに一つ甘えてもいい?」
「いいですよ」
「前みたいにキスだけはしたいな。それとたまにはエッチも…」
「な、何言ってるんですか!それにお願いが二つじゃないですか!」
「じゃぁたまのエッチで我慢するよ!」
僕もミサネェも笑い出した…。二人とも楽しそうに笑っているのに何故だか僕は胸が痛かった…。
「悔しいなぁ…あの時しとけば良かったかな」
「まだ言ってるんですか?オッケーそれじゃホテルに行きましょう。この辺はホテルだらけですよ」
…そんな軽口を叩ける程僕は大人じゃなかった。
店を出てミサネェは僕の腕に自分の腕を絡めてきた。そして人気のないとこで…キスを求められた。
—別れのキス—
それは初めて味わう、辛い味のような気がした。確かに僕にはそう思えた…。
752 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 06:56:15 ID:WhdeRQ8ZO
三宮駅に向かい、下りていく間もミサネェは腕を絡めたままだったし…時折キスを求めてきた。僕もだんだん辛くなった。
駅でミサネェとは別れた。電車の中僕は下を向かなかった。下を向けば涙が出そうな気がした。
僕はどうやら失恋したみたいだった。ほんとは幸せな筈なのに…何かが壊れたみたいだった。
誰かが言ってた「破壊と創造」って言葉が僕を支配した…
ミサネェとはこれまで通り、たまには顔を合わせるだろうし…だけど…
暗い夜道を一人で歩くような…そんな気分だった。
754 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 07:03:01 ID:WhdeRQ8ZO
自宅に戻り二階に上がる。顔を洗い、荷物を置き、下に下りた。
母からエリカとエリカのお母さんと買い物に行った話を聞く。聞いているうちに心が切り替わる…。
「エリカちゃんに電話してあげなさいよ」
僕はエリカに電話をした。ご飯を食べたら遊びに来たいというので、小声でエロ本は捨てたよって言った。
電話を切り、食卓につく。食事は既に用意されていた。さっと食事を終え、僕は二階に上がった。
エリカが来るまでダラダラしていよう…そう思う間もなく、僕は眠りに落ちた。
夢の中…僕は激しく責められている…多分、そんな夢を見ていたんだと思う。
エリカが心配そうに僕を起こしてくれた。
762 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 11:10:38 ID:WhdeRQ8ZO
僕は苦しそうな顔をしていたらしい、何があったのか心配だとエリカば僕に言った。
「多分、風邪がまだ治ってないからだよ」
エリカは少し安心した表情で僕を見つめ、そして額を合わせて僕の熱を計った。
「良かった。熱がなくて…。そうそうシンジ君。お母さんが明日の夜はシンジ君と過ごしてもいいって!」
エリカは嬉しそうに僕に報告した。大晦日のカウントダウンは二人で過ごせるし、そのまま電車で初詣に行ける事になった。
エリカが甘えてくる。僕はエリカを抱きしめた。強く強く抱きしめた。
「シンジ君…ずっと一緒にいてね。嫌いにならないでね」
エリカの事を嫌いになれる訳がなかった。心配させたり不安にさせてるのは僕だった。
「お掃除…しよっか。」
僕は掃除機と窓拭き、床拭きを担当。エリカは僕の机や本棚の整理を担当した。
「アッチの部屋は終わったよ…!?」僕は先に二階の残りの部屋の掃除機をかけた。
エリカはイヤラシイ顔をして、僕の方を振向いた。
「シンジ君のエッチ!」引出しの中のエロ本が残っていた…。それをエリカは見つけてしまった。
僕の顔は真っ赤になった。
763 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 11:12:06 ID:WhdeRQ8ZO
「ふ〜ん。シンジ君もエッチな男の子なんだ」
得意げに僕を見る。言い訳の言葉なんてなかった。
「…ごめん。捨て忘れた…みたい」
エリカは僕を手招きした。僕が近付くとギュッと僕に抱きついた。
「シンジ君…ごめんね。男の子だもんね…いっつも怖がってるから…」
「いや…それは。エリカと付き合う前に…買っ…」
「シンジ君に……」エリカは僕の言葉を遮り…何かを伝えようとしたが、エリカも最後まで続かなかった。
僕もエリカを抱きしめた。
「早く掃除をしなきゃ」僕はエリカを急かした。終わったら一緒に読む事を約束させられ…掃除を再開した。
残りの部屋のレースを外し、洗濯機に放り込みスイッチを押した。部屋を覗くとエリカは手際よく本棚の整理をしていた。
エリカと二人で床拭きをする。窓拭きが終わったと同時に洗濯機のブザーがなった。エリカがレースにフックを付け、僕が吊した。
「明日はシンジ君のベッドのシーツを交換してレースのお洗濯ね」
一段落ついたので、僕は紅茶を淹れに下りた。お茶の用意をしてくれていた。驚いたことにエリカ用のカップがあった。
764 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 11:13:43 ID:WhdeRQ8ZO
「エリカちゃんと選んだのよ、それ。」
後一時間以内で掃除は終わると嘘をつき、僕はトレーを持って二階に上がった。
僕が二階に戻ったらエリカは風呂掃除をしていた。
「おトイレも済んだよ。シンジ君は普段からお掃除してるからお部屋掃除は楽だね」
何げなしにエリカが紅茶の入ったカップを持つ手をみたら、手が荒れているのに気付いた。
「ごめん…もしかしたら掃除で?」
「気にしないで。大丈夫、ここの所洗剤を使い過ぎただけだから。すぐに治るよ」
僕はエリカの両手をそっと包みこんだ。
「お掃除も終わったし…お茶も飲んだし。約束通りにシンジ君の大切なエッチな本を見ようね」
大切な、…それは余計だと思った。しかしエリカはページを開き始めた。
すぐにエリカの顔が赤くなる…恥ずかしいなら止めたらいいのに。…僕も恥ずかしかった。
一人でしているのをエリカに見つかったような気分だった。
765 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 11:21:09 ID:WhdeRQ8ZO
「恥ずかしいよ…シンジ君、エッチ」
エリカの息は少しだけ荒くなっていた。小さな手でページをめくる。
「シンジ君、シンジ君も…こんな事するの?」
僕はどう答えていいかわからなかった。
僕は少し強引に本を閉じ、エリカを抱きよせた。
エリカは僕の腕の中で荒い息をしている…
「他の女の人…見ちゃ…イヤ」エリカは小声で呟いた。
—TheWhoのI can't explainが流れている—
僕はエリカの顔を起こし…そっとキスをした。
エリカの顔を見ていると幸せな気持ちになれる…。
エリカが僕の手を掴んで、自分の胸に押当てた…。
「恥ずかしいから動かさないで…中にも…手を入れないでね。」
僕は少しだけ身体をずらし…エリカを全身で包み込むように抱きしめた。
「もっと…シンジ君といたいよ…シンジ君の事ばっかり考えてしまう」
僕は黙って頷き…時間が許す限り、エリカを抱きしめた。
766 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 11:37:28 ID:WhdeRQ8ZO
「お邪魔しました。」
「アラ、もうこんな時間!明日も会うんだから泊って行けばいいのに」
母は冗談で言ってるのに、エリカは顔をうっすら赤らめた。
外に出ると粉雪が舞っていた。
「雪だね。シンジ君と初めて見る雪」
「うん。」
「シンジ君…ずっと一緒に居てね」
エリカの手は暖かかった…。
僕はエリカを送り届け、…少し遠回りして帰った。
771 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 12:29:28 ID:WhdeRQ8ZO
大晦日
エリカは朝早くに訪ねてきた。
「朝よ—!」どうやら母と買出しの約束をしていたらしい。僕は聞いてなかった。僕は無理やりに起こされ、シーツを剥がされた。
「今からお母さんと買出しに行くから、シーツは干しておいてね。その後はレースもね」
そう言いながら僕にキスをして、シーツを洗濯機に放り込み、パタパタと階段を下りて行った。
僕がノロノロと階段を下りたらお握りとメモがおいてあった。
父は既に起きていて新聞を読んでいた。メモにはエリカ達が帰ってくる迄のノルマが書込まれていた。
「シンジ、玄関の掃除をするから着替えてこい」
父は自分の車を洗車したかったみたいだったが、僕は後回しにしなきゃ怒られるよ、と忠告した。
どうせ母の車も洗車させられるんだし…一緒に洗おうと言うと父は少し嬉しそうだった。
「お前は意外と尻に敷かれるタイプなんだな」
玄関の掃除をしながら父は話かけてきた。僕はエリカと母じゃあまりにも違い過ぎると思った。
772 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 12:47:38 ID:WhdeRQ8ZO
一旦シーツを干しに二階に上がる。レースを洗濯機に放り込み、一服してからすぐに下に下りた。
父は網戸を外して窓を洗い始めていた。僕は網戸を洗い流した。
「鮎川さんとこの掃除も手伝いに行けよ。」僕もそのつもりだった。
ノルマのほとんどが済んだ頃、エリカ達は帰ってきた。母はかなり進んでいたので、喜んでいた。
「エリカのトコの大掃除も行くよ。今からなら早く終わるし」
エリカにそう言うとエリカは聞いてみるといい、電話をかけていた。
その間に僕は母の車から荷物を下ろし、洗車しやすいように車を家の前に移動して貰った。
「後で箪笥を動かすのをお願い出来る?」僕はもちろん!そう言った。
父は休憩したがっていたが、車の洗車を始めた。エリカも僕のベスパを磨いてくれていた。
ワックスを塗り終わったらちょうどお昼だった。
母が時間がないし、暖まるからと釜あげウドンを用意してくれていた。
四人で食卓についた。母はエリカ専用の茶碗や箸も買ったと笑いながら見せた。
「エリカちゃんがいつまでもウチの子でいてくれたらねぇ」
四人でウドンをすする。生姜がたっぷりで身体が暖まった。
775 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 13:05:25 ID:WhdeRQ8ZO
食事が終わり、箪笥を動かすなら父さんも行こう、と言いコートを羽織った。
エリカがウチの後片付けをしてくれている間に僕と父はワックスで鱗模様のままの母の車でエリカの家に向かった。
エリカが電話をしたのだろう、僕と父が着いた時にはエリカの両親が出迎えてくれた。
簡単に挨拶を済ませ、箪笥を移動させる事になった。箪笥を見て…父が来てくれた事に感謝した。
到底僕とエリカのお父さんだけでは無理な作業だった。一時間以上かかり全ての作業を終了した。
エリカの母にお茶を出していただき、四人で飲んでいるとエリカが帰ってきた。
正月に両家で鍋でも、となり三日の夜にウチで鍋をする事になった。
エリカとは晩ご飯の後に待ち合わせをして、僕と父は家に帰った。
家に帰り車のワックスを拭き取っていたら、父が腰が痛いと逃げた。結局僕が一人でワックスを拭いた。
ワックスを拭いた後はする事がなかったので、ベスパのガスを入れに行く事にした。
僕はメットをミラーに引掛け、スタンドまで押して行った。
777 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 13:31:20 ID:WhdeRQ8ZO
いつものスタンドで給油する。混合なので調整してもらう。
精算を済ませ、キックする。今日は一発で掛かった。まだ黒煙が出るので、少し走る事にした。
芦屋駅のロータリーにベスパを停め、タバコを買う。本屋に寄ろうか迷ってたら…ハルホと偶然会った。
ハルホは友達といた。ロータリーの所で僕がタバコを吸っているのに気付いたハルホは友達に何か言い、僕のとこにきた。
「シンジ、スクーター買ったんだ?」
「うん、ちょっと前…中古だよ…ハルホは待ち合わせ?」
僕もハルホも…お互いの距離感が掴めなかった。
「うん…カウントダウン。みんなで行くの…シンジは?」
「お、俺は…ガスを入れに来ただけ。すぐに帰るよ」
「そっか。じゃ、友達が待ってるから…今度、電話してもいい?」
僕は頷き…ハルホは友達のとこに戻って行った。
例の大学生かな?少し気にはなったが…嫉妬とかではなかった。
気分もブルーにならなかったし、これが風化するってことなのかも…と思った。
僕はベスパにキックを入れた—
784 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 15:03:15 ID:WhdeRQ8ZO
帰宅すると父は母の車をガレージに入れようとしていた。僕は道をあけ入庫するのを待っていた。
車を降りると父は僕を呼び止めた。財布から僕に小遣いをくれる。
「今日のお駄賃だ。それで彼女と何か食べたらいい」
僕は有難く受取った。家に入ると晩ご飯の用意が出来ていた。
食事を済ませ風呂に入る。部屋に戻る。シーツは交換されていて、レースも元のように吊されていた。
半裸のままベッドに寝転ぶ…そのままウトウトしてしまった。
エリカが迎えにきたのはすぐの事だった。
「もう…シンジ君、風邪引くよ!」エリカに揺り起こされた。
僕はエリカを抱き寄せた。
「キスしたい…」僕はエリカにキスした…そしてそのままエリカをベッドに引込んだ。
「そろそろ行かないと…ンジ君…」
僕は激しいキスをした。うたた寝の間にどんな夢を見たのだろう。
エリカを抱きしめ、激しく勃起している事を自覚した。
788 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 15:21:00 ID:WhdeRQ8ZO
エリカもそれに気付いた…らしく
「シンジ君…恥ずかしい…よ」
エリカの声に僕は我に返った。
「ごめん。着替えなきゃね」
「違うの…一緒に…変な…気持ちになりそう…なの」
「昨日…エッチな本を見たからかな?シンジ君…エッチ…夢を…」
僕はエリカを強く抱きしめた。
「もう…怖くないよ…シンジ君だったら…」
エリカは少し震えていた。それは僕にも伝わった。
エリカがキスを求めてくる。僕はそれに応え…キスをした。
用意をして…カウントダウンに行く事に…竹山さんやモーリーさん、ミサネェ達が待っている。
二人…手を繋いで駅に向かった。
794 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 19:06:42 ID:WhdeRQ8ZO
エリカはロングブーツにタータンチェックの膝丈スカート、黒いセーター、ヴィヴィアンのネックレス。コートはオリーブ色のハゥエルのコート。
僕はボタンダウンのシャツに紺の三釦の細身のスーツ、ポールウェラーを意識してモッズコートを羽織った。靴はローク。
二人で揃いのスクールマフラーをしていた。
竹山さん達との待ち合わせ場所に向かう。少し遅れて着いたらモーリーさんだけが到着していた。
「シンジはもうすぐ七五三か?」そう言いながら僕の髪を大人っぽく直してくれる。
そこへミサネェが友達を連れて到着した。
「この子が噂のエリカちゃんね。エリカちゃんは比佐子さんみたいね」口々に褒める…エリカは顔を赤らめていた。
「エリカちゃんはオリーブから抜けてきたって感じ、シンジ君はスタカンというより…七五三ね」ミサネェはそういうと僕の髪を直した。
モーリーさんがミサネェに抗議するが
「シンちゃんは私が育ててるの!それより竹山は?」
「竹山さんは少し遅れて来るらしいですよ」モーリーさんが答えた。
僕は輪から外れてタバコを吸いに行った。
796 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 19:45:05 ID:WhdeRQ8ZO
タバコを吸いにきたのは、エリカにタバコを吸ってる姿を見せるのは好きじゃなかったし、
それにミサネェと顔を合わせるのは少し辛かった。
…本音は後者だった。一応の結末は迎えた筈だったけど…まだ割切れない僕がそこにいた。
エリカが輪を抜けて僕のそばに来るのが見える。僕はタバコを消し、ミントを口に入れた。
「どうしたの?」
「シンジ君が淋しそうだったから…」
「そんな事ないよ。ちょっと疲れただけ…エリカは?」
「ちょっと眠いかな…でもみんなと迎える新年が楽しみだから大丈夫」
竹山さんの姿が見えたので、僕とエリカは輪に戻った…。ミサネェの事は意識しないようにした。
800 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/21(土) 20:07:26 ID:WhdeRQ8ZO
竹山さんが遅れて来たのはラッキーだった。
ミサネェは竹山さんにブーブー文句を言ってるし、その間に僕はうまく馴染めそうだった。
竹山さんに連れられ、メリケンパークに向かう。僕たち全員がフィッシュダンスホールでのイベントにタダで入れた。
竹山さんの顔で入れたのにミサネェはまだブーブー言ってた。…もしかしたらミサネェも竹山さんに救われた…そんな気がした。
ホール内はグランドビートが響き渡っていた。僕はカウンターでハイネケンを頼み、エリカはミサネェに聞いたと言うカシスオレンジを頼んだ。
みんなで乾杯をし、その後はバラバラになった。モーリーさんや竹山さんは同業のDJと挨拶をし、ミサネェ達は奥で友達と話していた。
僕はエリカのホール内の探検に付き合った。
DJが替わりHip Hopが流れだす。会場内はかなり盛上がってきた。
「息苦しいね…外の空気を吸いに行く?」
僕はエリカを外に誘った。外は寒かったけど、エリカは楽しそうだった。
少し歩き…ベンチへ。僕はエリカの肩を抱くようにして座った。
822 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 06:07:16 ID:aP5ggeYSO
「エリカにとって今年はどんな年だった?」
「最初は…不安だったかな。シンジ君を見掛けて…少し安心したよ。でも声も掛けられなくて…。」
「今は幸せだよ。夏休みからずっと幸せ。昨日よりも…今日の方が幸せだよ」
エリカの表情はとても柔らかかった…僕には勿体ないほどに純粋だと思った。
「シンジ君は?」
「…エリカと出逢えて幸せだよ。好きって言えなかった時は辛かったけど…エリカが勇気をくれたんだと思う」
「シンジ君と本屋さんで出会えなかったら…ずっと一人ぼっちだったのかな」
エリカは僕の手を強く握りしめた。
「それはないよ。あの時は神様が偶然を授けてくれたけど、あの偶然がなくても僕はいずれ必然に変えてたよ」
「もしも私が遠くに行ったら?」
「捜しに行くよ。たかが50億人だろ?世界中を捜してでもエリカを見つけだすよ」
823 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 06:10:45 ID:aP5ggeYSO
「…遠くに行きたい?」
「絶対にヤダ!シンジ君にくっついてるもん」
エリカは真剣なまなざしで僕を見つめる。エリカの表情には一点の曇りもなかった。
「僕にとってエリカは究極の理想なんだよ。エリカがそばにいてくれたら僕はスーパーマンにだってなれるよ」
確かにエリカは僕を変えてくれている。僕に…勇気を与えてくれていた。
「正直に言うとね。今でもドキドキするよ…シンジ君のキス。もう何回もキスしてるのにね…気を失いそうになる時あるもの」
—粉雪が舞っている—
「来年も良い年にしたいね」
「来年も再来年もその次も…ずっと大切にするよ」
時計を見たらそろそろ時間だった、カウントダウンが始まる。僕たちはホールに向かった。
825 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 06:35:49 ID:aP5ggeYSO
ホールの中は異常な盛上がり方をしていた。アルコールとタバコと笑い声と怒声が音と溶けあっている。
僕はエリカに離れないように言った。スクリーンに10分前の表示が出る。そこに竹山さんが通りかかる。
「捜したぞ。みんな上に行ってるからシンジ達も上においで」
屋上に上がると3分前の合図があった。
「なんか緊張するね、もうドキドキしてきたよ」
僕は目線でミサネェを追ったが見あたらなかった…。
1分前の合図があった頃ミサネェが上がってきた。どうやらトイレのついでに僕達を捜してくれていたらしい。
いよいよカウントダウンが始まった…みんなが一斉にポートタワーの方を見る。
10.9.…僕はエリカにキスをした5.4.3.2.1…一瞬の間があり、花火が上がった。
A HAPPY NEW YEAR!
みんなが騒いでいる
「シンジ君と2年越しのキスしちゃったね」
僕は喧騒の中、エリカの手を握りしめた。
後でわかったが竹山さんはトイレの中で新年を迎えたらしい。
826 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 06:57:13 ID:aP5ggeYSO
ホールに戻るとみんなで乾杯をする。ミサネェとも勿論乾杯した。
エリカがトイレに行ってる間に、そろそろエリカを送り届けるから、生田神社にお参りして帰ると告げた。酔ってて誰も聞いてなかった。
ミサネェのそばに行き、同じ事を告げた。ミサネェはわかったと合図して、
「シンちゃん、今年もよろしくね。…いっぱいキスしようね」そう言うとミサネェは頬に軽くキスをした。
エリカが戻ってきたので僕達は抜けだした。どっかでキリをつけないと際限なく朝まで乾杯が続く。
「そういや、お駄賃を貰ってきたんだ。二人分(笑)だから何か食べよう!」
「屋台がいいわ。もう何年も行った事ないもん」お参りを済ませた後…境内の屋台でお腹を膨らませた。
エリカはチンチン焼きとリンゴ飴がいたく気に入ったらしい。
「もう、帰ろうか…部屋においでよ」
「うん…シンジ君と一緒に過ごせるね」
僕とエリカは終夜運行の電車に乗った…
866 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 21:08:26 ID:3A/y/2cQ0
芦屋駅につく。時間は2時を少しばかり過ぎていた。
元旦だからかまばらながらに人影が見える。僕とエリカはしっかりと手を繋いでいた。
コンビニに寄り飲み物やお菓子を買う。そのまま坂をのぼり自宅に向かった。
部屋に入りエアコンと炬燵のスイッチを押す。
「寒いね」
二人ともコートを脱ぎ、ハンガーに掛け…慌てて炬燵に入る。
「少し落ち着いたね。この前のビデオ、観る?」
僕は【小さな恋のメロディ】をデッキにセットした。
エリカは僕のそばに座り直した。ライトを消し、ブランケットをかけた。
868 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 21:09:43 ID:3A/y/2cQ0
映画が始まる。主人公の二人に自分達を投影していくエリカ。もちろん僕も映画の中に入っていった。
エンドロールが流れはじめ、エリカは目に涙を浮かべながら僕の手を強く握ってきた。
僕もエリカの手を握り返した。
「もしも私達の事を誰かに咎められたら…どうする?」
「トロッコは…エリカをベスパに乗っけて…二人で逃避行の旅に出るよ」
「本当?シンジ君となら、何処にでもついていくよ」
求め合うように…自然と抱きしめ合った。
「眠くない?もう一本あるよ。」
「眠くないよ。でもシンジ君とこうしてギュッとしていたいな。今はスゴく幸せな気分だから」
映画をBGMとして使う。【ある愛の詩】をセットした。
ベッドに移動して僕はエリカを抱きしめた。
「キスしてもいい?」エリカはそっと頷いた。
優しいキスから激しいキスへ
870 :?シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 21:17:11 ID:3A/y/2cQ0
「エリカの全てがみたい」
エリカがそっと頷き、僕のシャツのボタンを外した。
僕はエリカのセーターをそっと脱がせた。セーターの下のロンTも脱がせる。暗がりのなか、
エリカの表情を伺う。目を閉じているのがかろうじてわかる。
エリカの吐息を飲み込むように…そっとキスをする。
スカートに手をかけ、ホックを外す。腰に手を入れて…巻きスカートを抜きさる。
僕はシャツを脱ぎ捨てた。
エリカを抱きしめ、キスをする。ゆっくりとブラのホックを外し、肩ヒモをずらす。
ゆっくり、ゆっくりと首筋にキス。エリカの吐息が荒くなる。
874 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 21:56:16 ID:3A/y/2cQ0
「シンジ君、恥ずかしい…よ」エリカは呟いた。
ブラを外し、エリカの髪を撫であげる。エリカがギュッと抱きついてくる。
僕はエリカの胸の膨らみをダイレクトに自分の胸に感じた。
「好きだよ、エリカ」
僕はエリカの縛めを解くとエリカの肩にキスをした。
………。
乳房に手をあてる…エリカの身体がピクッと跳ねる。
僕はエリカの胸にキスをした。エリカの身体が強張る。
「シンジ君…ンジ君、ずっと好きで…いて…ね」
少しずつアイブが激しくなる…エリカの荒い吐息が喘ぎに変わる。
手を太ももに回す。僕の手がイヤラシク撫でまわす。脹脛から膝の裏へ…
「ア…ンン…ウ…おかしく…なるよ」
狂って欲しい、ボクに狂って欲しい…僕はそう思った。
876 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 22:15:12 ID:3A/y/2cQ0
エリカの最も敏感なトコに触れる。
エリカの声が、喘ぎが一瞬…静まって、身体に力が入る。
パンティ越しにエリカの最も敏感なトコに指を這わせた。
エリカの全身から力が抜けてイク…。指先に湿り気を感じる。僕自身が狂いそうだった。
少しずつ、大胆に触る。僕の口はエリカの敏感な部分を含んでいる。
エリカの手が僕の背中をまさぐる、まるで何かを探しているかのように…
パンティの際に手をかける。骨盤の辺りからそっと脱がし始める。熱気を感じた。
靴下と一緒に全てを脱がす、エリカの生まれたままの姿に僕は感動した。
エリカは両手で顔を覆い隠している。僕はエリカの臍の辺りに口をつけた…。
「シンジ君狡いよ。エリカだけ裸だよ」
ベルトを外し、パンツとトランクス、靴下も脱いだ。
「僕も脱いだよ」
エリカの両手をそっと外した僕はエリカを抱きしめた。
877 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 22:35:34 ID:3A/y/2cQ0
エリカの身体が熱い。
「このまま抱きしめていてもいい?」
「うん、シンジ君…嫌いにならないで」
僕がエリカを嫌いになる筈なかった。否、嫌いになれる筈がない。
「エリカを感じるよ」
「シンジ君を感じる」
僕はエリカの太ももをそっと開き、手をしのばせた。
「恥ずかしい!」
エリカの最も敏感なトコは…濡れていた。ボクのも…濡れていた。
ユビをそっと動かす。エリカが感じているのがわかる。エリカのジュース…。
「…シンジ君、何…か…変。ア、熱い…よ」
ボクのユビがエリカの敏感な突起に辿り着く。エリカの喘ぎ声が小さな悲鳴に変わる。
879 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 22:38:57 ID:3A/y/2cQ0
ボクのユビが執拗に突起を触る。
エリカの喘ぎに曇りを感じる、顔を見上げるとエリカは泣いていた。
「怖いの?嫌な事をしちゃった?」僕は複雑な表情をしていたと…思う。
「少し…だけ…」
「ここまでにしようか?」僕は手を止めて、エリカの肩を抱いた。
「ううん。大丈夫、気持ちいいよ」
「違う、僕はエリカに好きって言えるけど、僕はまだ愛しているって言えてない。」
「気持ちは当然愛しているよ。でも、本当に…本当に心の底からエリカに愛してるって言いたいんだ」
エリカは泣きだした。声をだして泣き出して、僕に抱きついた。
「シンジ君のこと、愛してるよ。」
881 :?シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/22(日) 22:52:59 ID:3A/y/2cQ0
「エリカを愛しているし、好きだし。一緒にいたい。ホントはエリカとエッチしたい」
「でも、エリカに愛される自信がないんだ」
エリカは僕を見つめ、身体を起こして正座した。
「シンジ君のこと、ずっと好きだし。お嫁さんになりたいよ」
僕はエリカの真っ直ぐな視線に恋をした。
「エリカを愛している。それが自然に言えるようになるまで…」その後の言葉が続かなかった。
心の中では何度も【愛してる】って叫んでいた。
947 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:35:12 ID:pKh9QTuR0
エリカが身体を寄せてくる。僕のはまだ不自然に勃ったままだった。
「男の子の…初めて見ちゃった」僕はエリカを寝かせキスを繰り返した。
今度はエリカも少し積極的にキスを貪った。
「もう少し…エリカのことを見ていたい」恥ずかしがるエリカの動きを制止してボクはアイブを再開した。
エリカも今度は安心したのか、身体が素直に反応する。
ボクはエリカの乳首を優しく噛んだ。身体が反応する。緊張と弛緩の繰り返し。
僕の…がエリカの太ももにあたる。
「シン…ジ君のが…あたって…いるよ」僕はエリカの手を握り、そっと僕のを触らせた。
エリカの手が優しく僕のを包み込む。僕はアイブを激しくした。
そっとエリカの足を割り、身体をすべりこませる。一気にエリカの最も敏感な部分に口づけをする。
「キャッ」小さな悲鳴とともに足を閉じようとする。ボクはそれを許さなかった。
大きく息を吸い込む。エリカの匂いを全身で感じたかった。
ボクの舌がエリカのキモチイイ場所を探る……。感じているのがわかった。サラサラのジュースが溢れてくる。
「オイシイヨ…エリカのジュース」ボクはワザと音を立てる。
948 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:36:10 ID:pKh9QTuR0
エリカの身体から力が抜ける。
「シンジ君。恥ずかしい…のに気持ち…いいよ」何度もそう訴えるエリカ。
「もっと気持ちよくなって、エリカの感じている顔が見たいよ」
「もしかして…エリカはエッチな…女の子かな?」
僕は一旦手を止め、エリカにキスをした。エリカがそっと腕を僕の背中にまわしてくる。
映画の中の音楽が雰囲気を作った。
エリカは少し落ち着いてから…僕のを包み込むように優しく握ってくる。
「嫌じゃない?」
「どうして?シンジ君のだもん。でも、どうしたらシンジ君が喜んでくれるかわからない」
エリカの表情から恥ずかしさが読み取れた。そして…少しだけ動かしてくれた。
「気持ちいいよ、エリカ。エリカの顔を見ているだけで幸せだよ」
949 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:37:22 ID:pKh9QTuR0
「シンジ君も濡れてるね。」エリカは恥ずかしそうに言う。僕はエリカを抱きしめた。
「シンジ君、好き、大好きよ」
エリカはそう言うとおもむろに身体を起こし、寝ている僕に背を向ける形になった。
「食べてもいい?」エリカはそう言うとボクのに顔を近づけた。エリカの吐息があたる。
痛い程に膨張したそれを優しく握るエリカ。少しばかり躊躇を見せた後……。
ボクのにキスをした。全身が痺れるような感覚が僕を襲う。
エリカは何度もボクの敏感な部分にキスを繰り返す。
「シンジ君の味がするよ」僕の心拍数は異常に跳ね上がっている。苦しささえ覚える。
そのままエリカはボクのをゆっくりと口に含んだ。エリカの唇の感触が伝わる。僕の全ての神経がそこに
集中している。狂いそうになる。エリカの口の中で舌先が動く度に…イキそうになる。
エリカの声にならない声が漏れる、僕はもう限界に近かった。
僕は身体をずらそうとするが、動けなかった。身体が麻痺しているかのようだった。エリカの尻のあたりを
撫でまわす。エリカの敏感な部分の感触を確かめるのが精一杯だった。
950 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:38:08 ID:pKh9QTuR0
爆発した。
そう表現するのが最もふさわしい気がする。僕の身体は硬直し、何度もドクドクと脈打った。
同時にエリカの驚きの声がする。……エリカはそのまま僕のを飲み込んだ。
……僕の身体はダラシナク弛緩していた。
エリカはそっと口を離して……僕のそばに寝た。僕もエリカも荒い息をしている。
「ありがとう、でも…ごめんね」やっとの事で言葉がでた。
「ううん。嬉しいの。意味わかんないけど、嬉しい」エリカは抱きついてきた。
僕はしばらくの間、エリカを抱き…浅い眠りに落ちた。
951 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:38:58 ID:pKh9QTuR0
ふと目を覚ますとエリカは僕の身体に毛布をかけていてくれているのに気づいた。
僕の胸の中で小さくなって眠っている。僕は気づかれないようにそっとキスをした。
時計を見ると6時前だった。
エリカの身体を撫でている間に僕はまた欲情した。
そっと愛撫を始める。エリカの乳房を揉みしだき、乳輪に舌を這わせたトコでエリカが目を覚ました。
「シンジ君、もう朝だよ…恥ずかしいよ」
僕は構わずにエリカの乳首を舌で転がした。
「ア…アン…スゴ…ンン」エリカは激しく感じ始めていた。
僕は躊躇することなく、エリカの最も敏感な部分に口を這わせた。エリカの手がシーツを握りしめる。
僕は舌先をエリカの中に押し込んだ。唇で襞を分けるようにして、舌先を侵入させる。
エリカのシーツを握る手に力が入る。ジュースは溢れ出てくるのに、エリカのソコは固く閉じている。
敏感な突起に舌を這わせ、ボクのユビが侵入を試みる。
「イタッ、痛いよ」エリカの反応に合わせ、ユビの力を抜く。エリカの身体が硬直する。
僕はそれを執拗にくりかえした。
952 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:39:40 ID:pKh9QTuR0
「シンジ君、狡いよ…エリカだけ恥ずかしい…よ」エリカが僕の背中を軽く叩く。
「シンジ君も気持ちよくなって」そう言うと僕を寝かせる。
エリカは今度は躊躇いもなく僕のを口に含んだ。僕はエリカの腰に手を回し軽く持ち上げ、
シックスナインの体勢に持ち込んだ。エリカの口からボクのがこぼれる。
「ダメ、シンジ君!恥ずかしいよ」ボクはエリカの尻の双丘を開き、音を立ててむしゃぶりついた。
エリカの背中が弓なりに反る。軽い悲鳴とともに喘ぎ声が聞こえる。
「ボクのも、お願い」ボクがしゃぶりながらそう言うとエリカはボクのを口に含んだ。
舌をリズミカルに動かす。ユビも使う。執拗に最も敏感な突起を舐めていると、エリカの身体が震えだした。
エリカはボクのを掴むのが精一杯で口に含むことも忘れていた。
一瞬、背中が大きく反り返り…エリカの身体がボクの上でバウンドした。
エリカの身体から力が抜けていくのがわかった。
953 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:40:30 ID:pKh9QTuR0
エリカの身体をすこしずらしてボクの腕の中に収める。エリカは荒い息をしたまま、目を閉じている。
時計に目をやると七時をまわっていた。
ゆっくりと眠らせてあげたかったが、時間がなかった。
エリカにそっとキスをして、カーテンを少しあけた。普段は雪のように白いエリカの身体はサクラ色に染まっていた。
気持ちが落ち着いていく。僕はエリカの息が落ち着くのを待って話しかけた。
「今すぐでなくてもいい。エリカが欲しいよ。エリカの全てが欲しい。ずっと一緒に居て欲しい」
「うん。シンジ君がいい。ずっとシンジ君のそばにいたいよ。」
少しの間抱き合ってから、ノロノロと着替えをした。
「シンジ君、みちゃダメ!恥ずかしいでしょ!」僕が着替えを見ようとすると…すぐに気づき、怒る
954 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:41:32 ID:pKh9QTuR0
用意が終わりエリカを送り届ける事にする。
しっかりと手をつなぎ、ゆっくりと歩く。
「シンジ君の裸…見ちゃった」エリカは恥ずかしそうに呟いた。
「僕だってエリカの裸をイッパイ見たよ」明るい声で言う。
エリカは顔を真っ赤にして僕の背中を叩いた。
エリカを自宅に送り届ける。玄関先でネックレスを忘れた事に気づくが、僕が大切に預かっておくからと
取りに戻ろうとするエリカを家の中に押し込んだ。
帰りにローソンに寄り、オロナミンを買う。僕はオロナミンを飲みながら幸せに浸った。
主玄関から入る。母は起きてきていた。今。帰ったの?って言葉に
「さっき、エリカが少し寄って行ったよ。中途半端な時間だったし」僕は返事をして一旦上に上がった。
顔を洗うが風呂に入るのは止めた。もう少しだけエリカの匂いに包まれていたかった。
955 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:42:25 ID:pKh9QTuR0
昼頃にインターホンで起こされる。
ノロノロと下におりる。一応は元旦を祝う事に。
お屠蘇嫌いの父に合わせて冷酒で乾杯をする。おせちを少しつまみ僕はお年玉をもらった。昨日も小遣いを貰った
から辞退の姿勢を見せたが、それはあくまでポーズだった。
母は相変わらず元気だった。「今日はエリカちゃんは来ないの?」
「多分、寝てるんじゃない?朝まで踊ったり、お参りしてたし」
お雑煮を食べながら答えた。父はぼんやりとテレビを見ている。僕も釣られてテレビを見た。
昼食を終え、部屋に上がる。睡魔が襲ってきた。
夕方になり、エリカに起こされる。部屋は既にエリカが片付けてくれていた。
「さっき電話でご挨拶したら、シンジ君が寝てるから起こしにおいでって…」
このまま晩まで寝続けたら、僕が夜中に目が冴えて暇だろうって母が言ってたらしい。
「シンジ君のお父さんとお母さんは初詣に出かけたわよ。」そう言ってエリカはベッドの横に座った。
957 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:45:28 ID:pKh9QTuR0
ほんの数時間しか離れていないのに、エリカはキレイになっていた。そんな気がした。
僕は正直にそう告げた。エリカは「馬鹿」って小さく呟くと、嬉しそうな顔を見せた。
「こっちにおいで」そう言うと僕はエリカを抱き寄せた。
「不思議。シンジ君にギュッてされると安心する」エリカは幸せそうに呟く。
僕はずっとエリカを抱きしめていたい、そう思った。
「少し散歩しよう」僕とエリカはコートを羽織り表に出た。玄関を出た所で両親が帰ってきた。
「財布を二人とも忘れたのよ。それより西宮戎に行くけど、一緒に来る?」エリカは僕の顔を見て、
「行った事ないから嬉しいです」母は僕に玄関に財布があるから取って来てといい、
僕は急いで取りに戻った。
道は空いていた。すぐに西宮戎の近くまで来る。路駐出来る所を探し、車を止めた。
「ここは商売の神様だから十日戎が賑わうのよ」母がエリカに戎さんの説明をする。
958 :?V???W ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 10:46:45 ID:pKh9QTuR0
迷子になったら赤門を待ち合わせ場所にすると決め、境内へ。出店も出ていて賑わっている。
お参りをすませ、茶店で甘酒を飲む事に。エリカは初めて甘酒を飲んだ。
「暖かくて、甘くて美味しいです」その後、麩を買い…池の鯉にあげたりした。
父がせっかく西宮に来たんだからパチンコをしようと提案するが、母が即却下した。
「あんた達どうする?何処も行くとこないでしょ?このまま帰って一緒にご飯食べる?」母が聞くが、
エリカは親戚が訪ねてきているし…正月なのでと遠慮した。車でエリカを自宅まで送って行き、
三日に遊びに行く約束をして別れた。エリカは二日は親戚参り(久しぶりの正月)をして、
一年分の収入を稼ぐと張り切っていた。
僕はそのまま両親と帰宅した。
40 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 23:26:20 ID:C/Yq24Z2O
二日は一日中のんびりと過ごす。ハルホから電話があったが、普通に正月の挨拶って感じだった。
冬休みの間に暇があれば電話して欲しいと言われ、うやむやに返事をした。
エリカからおやすみの電話があり、ハルホから電話があった事を話すか、一瞬迷ったが変に心配させるのも嫌だったので黙っていた。
三日
昼過ぎにエリカが訪ねてきた。エリカの顔を見るだけで、たった一日逢えないだけでも寂しがってる自分に気付いた。
「晩ご飯は鮎川さんの所と一緒なんだから、早く帰っておいでよ」そう言われながら僕はエリカと出掛けた。
「神戸はまだ店もあいてないから梅田かアメ村にしよう」僕は提案した。
エリカと電車に乗り梅田へ。
僕は反対したのだが、エリカは福袋を買うと主張する。エストやロフトを見て回るが、エリカも僕もそれ程欲しい物はなかった。
四ツ橋線に乗りアメ村へ…アメ村には御堂筋線よりも四ツ橋線。
アメ村は賑わっていた。ロボットで服を物色し、デプトへ…。ビームスからカンテでお茶をする。
ハニーチャパティとマサラチャイがエリカの定番で、僕はラッシーを飲む。
41 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 23:27:54 ID:C/Yq24Z2O
「後でバルをチェックしたいな」時間はタップリとあったので、古着屋さんなんかをまわる。
空振りになるのも嫌なので、二人で揃いのバングルをビームスで購入した。
そろそろ帰ろうとなり、梅田から家に電話する。
「白菜と鳥のミンチ、軟骨もあれば買ってきて」なければすぐに電話くれとの事。
「多分、今夜はチャンコかうどんすきだね」
「シンジ君のお母さんのつくねはふっくらしてて美味しいから大好き」
エリカと二人でデパ地下へ。目当ての食材を買った後、家に電話をしてからエリカの最大の目的である福袋売り場へ。
ヒロミチの福袋をゲットしたエリカはニンマリしていた。
帰りの車中でエリカが要らないのは僕にくれると言うので
「多分、福袋ごと僕にくれる事になるよ」
……。
エリカが食材の入った袋を持つ僕を見て
「シンジ君と未来もこうして食材を抱えて…一緒にいたいな」と呟いた。
電車が芦屋駅について僕達がラポルテ沿いに歩いていると、ハルホとスレ違った。
正確にはスレ違ったらしかった。
42 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 23:31:58 ID:C/Yq24Z2O
エリカの家にエリカを送り届ける。そのまま7時に約束すると、僕は帰宅した。
母に食材を渡し僕は二階へ。すると少ししてからエリカが食材を持って手伝いにやってきた。
7時過ぎにエリカの両親がやってきて挨拶を済ませると食事が始まった。
鍋が煮えるまでの間、エリカのお母さんが用意したオードブルをつつく。
緊張していたのは僕とエリカだけだった。もちろん、親同士も緊張していたのだろうが…
僕やエリカには表情を読取るだけの余裕はなかった。食事が終わり、エリカ達が帰ったのは10時を過ぎた頃だった。
片付けの手伝いを済ませ、部屋に上がったのは11時過ぎだった。僕は上で風呂に入る事にした。
四日、五日はエリカが家族と里帰りする事になってたので、次に逢えるのは六日だった。四日は僕の方も祖父に会いに行く事になっていた。
46 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/24(火) 23:56:28 ID:f7PTEzcu0
五日
少し退屈していた僕は三宮に出た。
竹山さんらが集まっているJavaに顔を出す。正月らしく、スローなモダンジャズがかかっていた。
「明けましておめでとうございます」
「おう、今年も宜しく!」
そのまま僕も混ぜてもらい、ダラダラと過ごす。僕は適当に相槌を打った。
アレンジャーがどうこうなんて話はサッパリだった。
皆はハックルベリーやホンキートンクに行くと言うので、僕は高架下をブラつく事に。
「ミサが棚卸ししてるから覗いて来いよ」別れ際に竹山さんに声を掛けられる。
あまり気乗りしなかったが、とりあえず挨拶に向かった。
店に着くとミサネェは明日からのセールの準備をしていた。
「ちょうど良かった、コーヒーお願い。」挨拶より先にコーヒーを買いに行かされる。
……。良かった。いつものミサネェと僕の関係だ。そう思いながら、僕は全部で4本のコーヒーを
買う。店に戻り、ミサネェと同僚の人に差入れをする。
49 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 00:08:26 ID:7WwL2iNC0
新年の挨拶を済ませるとミサネェの同僚の一人が靴下占いの人だと紹介される。
「シンちゃん、靴下脱いでごらん」僕は固く断った。
そして、靴下占いが失敗した原因が分かったような気がした。
コーヒーを飲みながら靴下占いの人に僕を【年下の彼】と紹介したのにはビックリしたが、
もう一人のミサネェの同僚がやんわり否定してくれた。
「でもシンちゃんはオイしそうでしょう?」
「そりゃぁ可愛らしいけど、彼女いるもんね?」
僕はどう答えていいのかわからず、俯いてしまった。
ミサネェはそっと耳元で「美味しいもんね」と囁く。
僕は耳まで赤くなった。
「アンタ、シンジ君に何言ったの!」その言葉に僕は救われた。
靴下占いの人はニコニコしていた。
その後、僕は力仕事を少し手伝った。
51 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 00:29:34 ID:7WwL2iNC0
店の棚卸しが終わるまで付き合ったら……僕にはまだ振り切れる自信がなかったので、
早々に帰る事にした。
…これでいいんだ、少しずつ、少しずつ…
そう思いながら帰宅した。
部屋に入り、ぼーっとしているとエリカから電話があった。
竹山さんやミサネェと会った事を話す。明日はデートしよう、そう約束して電話を切った。
晩ご飯を食べ、部屋で音楽を聞いているとインターホンが鳴った。
電話に出ると…ハルホからだった。
60 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 06:34:40 ID:CxsEz2PbO
「ちょっとシンジの声が聞きたかったの」
……。僕は答えを探した。
「本当はこんな電話をしたら…シンジに嫌われるよね?」
「電話ぐらいで嫌いにならないよ。それにハルホを嫌いになった訳じゃないし…」
本当は【別れた理由が】を挿入すべきだったのに…僕には出来なかった。
「シンジは優しいね。でも…シンジの優しさが私を傷つけてるんだよ」
ハルホの声は少し…ほんの少しだけ涙声だった。
「私…どうしたんだろ…こんなの嫌われるだけだよ」
僕にはハルホの気持ちがわかった。…本当は何もわかってないのに…わかったような気がしていた。
「好き…って…痛いんだよ。心がとっても痛いんだよ、シンちゃん知ってた?」
僕は本当は…知ってたような気がした…。だけど、何も言えなかった。
「ちょっと前まではラブラブだったのに…いつの間にか一人ぼっちなんだよ」
「うん、俺が悪いをだよな…ハルホには…」
「その先は言わない約束…だよね?」
61 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 06:36:27 ID:CxsEz2PbO
ハルホは僕の言葉を飲込んだ。
「どんどん嫌な女の子になっちゃうよ…」
「それはないよ」
僕は辛くて…電話を切りたかった…。
「もう…可能性ないのかな?あの子には…勝てないのかな?」
……。
「ゴメン…今の俺にはそれしか言えないよ」僕には…それが精一杯の言葉だった。
電話を切った後…僕は風呂に入った。湯船に使って…全てを洗い流したかった。
それが出来ないのはわかってたし…そうしたくもなかった。いまだに心のどこかにハルホは存在していた。
62 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 06:39:24 ID:CxsEz2PbO
風呂を上がり、寝る準備をしていると…インターホンが鳴った。
内線とは違う…。
おそらくハルホだろうと思ってドアを開ける。
そこに立ってたのはやはりハルホだった。
「ごめん、きちゃった…」
僕はハルホを部屋に入れた。
「今、風呂上がりだから…すぐに着替えるから」
着替えたらハルホを送っていくつもりだった。
「部屋…変わってないね」ハルホは部屋を見回す。
「すぐに帰るよ。これ以上嫌な女の子になりたくないし…声をきいたら顔が見たくなっただけだもん」
僕とハルホの間に微妙な空気が流れる…。
炬燵に入りホッとしたのかハルホの表情が崩れる。
いつものように…僕はハルホの向かい側に座った。
ハルホが寝転がる…
「いつもの天井じゃないみたい。こんなんだったかな?」
……。
64 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 06:45:40 ID:CxsEz2PbO
「やっぱ帰るね…シンジのもう一人の彼女に悪いし」ハルホはワザと悪戯っぽく笑う。
「送っていくよ」
「いい!」僕がコートを羽織ろうとすると、ハルホは走って階段を降りた。
玄関を出て…少しした所で僕はハルホに追い付いた。
彼女を振り向かせると…ハルホの目には大粒の涙が溢れていた。
「だって!寝転んだ時に彼女の顔が浮かんだんだもん!」
僕はハルホを抱き締めた…。ハルホにかける言葉もなかったし…そう…してしまっていた。
ハルホを抱いた時…違和感に似た…何かが違ったような気がした。
「シンジ…ごめんね…ごめんね」
本当に謝らなきゃならないのは…僕だった。
「帰ろう…」
僕は身体をそっと離すとハルホの手を引いた…。
早く送り届けなければ…僕が壊れる…そんな気がした。
「あの子といる時のシンジ…幸せそうに見えた」
66 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/25(水) 06:51:47 ID:CxsEz2PbO
ハルホを送り届けた僕は…真直ぐに帰った。
ハルホを苦しめているのは僕だった。そして…僕も苦しんでいた。
ハルホを犠牲にして…僕の幸せは成立しているような気がした。
あの時のミサネェの言葉を思い出すが、もう…ミサネェに頼る事は出来ないと思った。
僕はハルホに別れを告げなければならなかった。ハルホの為にも、そうしなければならない…。
部屋に戻っても僕は落ち着かなかった。何故かハルホの残香がある気がする。
布団に入ると…エリカの顔が見たい、強く思った。
204 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 12:58:41 ID:WKgMU1eU0
二月第一週
ミサネェは後期試験と就活で忙しいらしく、会う機会もなかった。ハルホからはあの日以来連絡もなかった。
変わった事といえばエリカが髪を切った事と普通科の生徒に告白された事ぐらいだった。
そんな時、中学の時の同級生からハルホが盲腸で入院したと連絡が入った。
「三日前に入院したらしいよ。昨日手術したって。シンジ君も良かったらお見舞いに行ってあげてよ
」
その日、僕はバスに揺られて芦屋市民病院へ向かった。
205 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:00:46 ID:WKgMU1eU0
病室をノックし、部屋に入る。ハルホは漫画を読んでいた。
「大丈夫?」「お見舞いに来てくれたんだ。…まぁシンジに連絡してって私から頼んだんだけどね」
「元気そうでよかった。何を持ってきたらいいか分かんなかったから…とりあえず」花を渡した。
「ありがとう!でも、花瓶ないから…どうしよう?」花はとりあえずお母さんが来たら考えるって事になった。
すぐに看護婦さんが入ってきて傷の消毒を始めた。その間は僕は病室の外で待っていた。
看護婦さんと入れ違いで病室に入る。
ハルホに病状を聞くが、本当に大した事はなさそうだった。
「明日からは大部屋に移るし、ホント大丈夫。」
運動出来ないのと退屈なのが問題だけど、それ以外は問題ないとの事だった。
面会時間が終わりになる頃、ハルホの父親がハルホの様子を見に来た。
僕はハルホの父親に挨拶をして、病室を出た。
バスの時間を見たら…かなりの時間があったので、僕はタバコを吸いながら歩いて山を降りた…。
—このまま友達の関係になれたらいいのに—
206 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:01:44 ID:WKgMU1eU0
次の日
晩ご飯の後にエリカが勉強しに来るので、それまでに約束していた漫画をハルホに届けに行く事にす
る。
ベスパにキックを入れ、僕は市民病院へ向かった。
受付でハルホの新しい病室を聞き、部屋に向かう。部屋を訪ねるとハルホのお母さんが彼女の世話をしてい
た。
挨拶をすると、昨日の花の礼を言われ
「ハルホ、お母さんご飯の仕度に戻るから…後でお父さんと来るね」
少し気を使ってくれたみたいだった。
鞄から頼まれていた漫画と林檎ジュースを取りだしハルホに渡す。
「ありがとう。でも、もうすぐ退院だけどね」
会話の糸口がみつからない…僕も…多分、ハルホも同じだった。
207 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:02:43 ID:WKgMU1eU0
「傷口見る?」ハルホが明るく話しかける。
「いや…それはいいよ」
「シンジの知らない私になっちゃったね」傷口を指しているのか…僕達の距離を言ってるのか、わから
なかった。
ふっとした間があり、ハルホが布団の中からそっと手を出し…僕の手を握った。
「こっち来て」ハルホが小声で呼ぶ。僕がハルホの顔に耳を近付けると…そっと頬に唇が触れた。
「何もお返し出来ないから…」そう言うとハルホは僕に笑顔を見せた。
—その時は僕も…上手に笑えてたのだろうか—
ハルホの学校での話やクラブで大会メンバーになれそうだとかの話を聞く。
208 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:03:41 ID:WKgMU1eU0
暫く話しをしていたら、ハルホの彼氏が見舞いにやってきた。
「盲腸だって?大丈夫か?」彼氏は僕を横目で牽制しながらハルホに聞いていた。
「それじゃ、失礼します。早くよくなって下さい」僕は彼氏に頭を下げ部屋をでた。
部屋を出る時に「なんでアイツが…」…続きは聞こえなかった。
僕がエレベーターホールでコートを着ながらエレベーターを待っていたらハルホの彼氏が追いかけて
きた。
「どういう事なんだ?」
僕には彼氏の質問の意図がわからなかった。
「アイツはお前とは会わないって言っていたんだ。どういう事なんだ?」
…意味がわかった。
「彼女の同級生からたまたま電話があったんですよ。手術をしたって。それで見舞いに来ただけです
。」
僕はそう答えながら—五日も知らなかったっておかしくないか?— …そう思った。
「そういう事なら仕方ないな。ハルホが言ってたのと同じだし」威厳を保とうとして、続けて
「アイツも迷惑そうだったし、すぐに退院だろうから…もう来なくていいよ」
209 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:05:02 ID:WKgMU1eU0
「もう退院みたいだし、来る必要もないでしょ?」僕はカチンときていた。
「それに…」言いかけて、僕は続きを抑えた。
話は途中だったが、無視して僕はエレベーターに乗った。
ベスパにキックを入れる、なかなかエンジンが掛からなかった。
必死にキックを入れている内に…不思議な事にハルホの事も、彼氏の事も忘れていた。
部屋に戻り、顔を洗い食卓へ。
食事を済ませた頃に電話が鳴った。エリカからだった。
暫くしてエリカがやってきた。僕はハルホの入院の事を話すべきか迷ったが、言えなかった。
本当は話すつもりだったが、エリカの幸せそうな表情を見ていると…僕には言えなかった。
210 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:06:03 ID:WKgMU1eU0
二月第二週
ハルホから電話があり、退院したとの事だった。ハルホは彼氏の非礼を気にしていたが、僕は気にならない
し心配いらない…と答えた。
—なんとなく、このまま薄れていくのだろう—…電話を切った後で僕はそう思った。
次の日、エリカと三宮へ買い物に出かける。
「シンジ君、寒いね。」エリカはそう言うと僕の手をキュっと握った。
「手袋があるから有効利用しよう!」僕はそういうとエリカの右手に手袋をつけた。僕は左手に手袋を
つける。
「あったか〜い。シンジ君。これはナイスだよ」
僕はエリカの左手を握ると自分のダッフルコートのポケットにつっこんだ。
「これで完璧」
211 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:07:01 ID:WKgMU1eU0
【one way】で文房具やポストカードを物色する。僕はセルロイドのペンケース。エリカはバーバラクルーガーの
有名なイラストのトートバッグを買った。
その後は【スリーゲル】でアンティークの雑貨を見る。
「喉が乾いたね、ココアが飲みたいよ」僕はエリカに提案し、【JAVA】に入った。
「後で【ウェストエンド】もみたいね」その店は高いけど、カッコよかった。
「そうそう、シンジ君。バレンタインはチョコの他に何がいい?」エリカはメモを取る仕草をする。
「エリカと一緒にいられたらそれでいいよ」別に特別な事を言ったつもりはなかったが、エリカが顔を真っ赤にする。
「もしかしてエッチな事を想像した?」僕は小声でイタズラっぽく、エリカに聞いた。
「チアキがね…変な事を言うから…」エリカが手を振って釈明する。
「チアキがなんて?」僕はエリカを追詰める事にした。
「シンジ君が絶対に求めてくる…って。だから逆に…頭にリボンを乗せてシンジ君に…迫れっ…て」
僕は一瞬想像して吹き出してしまった。
「最近、チアキがエッチな話ばかりするから困るよ」僕は全然困らなかった。
212 :シンジ ◆MEx/4CS4Gs :2006/01/27(金) 13:08:01 ID:WKgMU1eU0
【JAVA】の小さな椅子とテーブルはエッチな会話を小声でするには最適だった。
「じゃ、それをリクエストしようかな」僕はイヤラシイ顔をしていた。
「エッ…」エリカは悩んでいる。
「ウソ、嘘。僕はエッチなエリカよりもエッチな事をされてるエリカが好きかも」追い打ちをかけた。
「○△×▲☆…」エリカは簡単に壊れた。
自分で苛めているのに困った顔をするエリカを見て愛おしくなる。僕は変態だと思った。
「ごめんね。ホントはエリカの困った顔を見るのが好きなんだ」
「シンジ君、趣味悪いよ。それに変態」エリカは怒った素振りを少しみせたが、ホッとした様子だった。
その後、チアキとエリカのワイ談の内容を聞き出す。…そこには、ちょっと興奮してしまう僕がいた。
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